タヒチの音楽というとすぐに思い浮かぶのがポリネシアン・ショーやルアウ・ショーで激しく腰を振るタヒチアンダンスの音楽だった。
日本で入手可能なタヒチの音楽はコンピレーション・アルバムしかなく、どのアルバムを聞いても南国調の同じような曲かドラムのビートでしかなかった。しかしハワイのレコード店でタヒチのローカル・ミュージックのボビー・ホルカム(Bobby
Holcomb)のアルバムを見つけてからはタヒチの音楽に対してのイメージが一新した。今まで聞いていた南国風の音楽ではなくタヒチアン・ウクレレのリズムに様々な音楽がミックスし聞いたことのないサウンドを作り出していてそのサウンドに圧倒されてしまった。彼はタヒチの若者をはじめ多く人々に影響を与えたアーティストであったが残念ながら僕が彼を知ったのはすでに亡くなった後だった。
タヒチ経済の中心地であるタヒチ島ではタヒチアン・ミュージックをオンエアーしているFM局がいくつかある。選曲も古いものから最新の音楽までバラエティーに富んでいる。そこにハワイのIZの歌が流れていてタヒチの人達にもIZは支持されているようでなんだか嬉しかった。幾つかのハワイアンナンバーもタヒチのミュージシャンに多くカバーされている。最近ではケアリイ・レイシェルの‘I
Po Lei Momi’もよくラジオから流れているが、僕の好きなカバー曲はタプアリイ(Tapuarii)がタヒチ語で歌うハワイアンスタイルバンドの‘Love
And Honesty’だ。おしゃれなサウンドがフランス領のタヒチの風土に合っているように聞こえた。
ローカルのタヒチアン・ミュージックはタヒチアン・ウクレレの音に加え、レゲエ、アフリカン、カリビアン、R&Bなど様々な音が融合してとてもパワーのあるサウンドに仕上がっている。大御所と呼ばれているガビルGabilou)やベテラン歌姫エステール・テファナ(Esther
Tefana)や若手のマルイア(Maruia)。タヒチのボブ・マレーと言われ画家でもある今は亡きボビー・ホルカム(Bobby Holcomb)。ミュージックマガジンにタヒチのボブディランと称されていたアンジェロ(Angelo)。心に響く大集団のコーラス&リズム隊フェヌア(Fenua)など挙げていたらきりがないほど多くの素晴らしいミュージシャン達が精力的に活動している。
10年程前に日本では聞くことのできないタヒチのローカル音楽がエイベックスから「タヒチアン・クレオール・シリーズ」として10枚のアルバムがリリースされ、どのアルバムも予想以上に素晴らしい内容だった。同時期ソニーレコードからもボビー&アンジェロ(Bobby
& Angelo)といタヒチ最大のヒットアルバムがリリースされ勿論即購入した。
しかし以降はフラのブームで日本盤リリースはハワイアン傾向になりタヒチアンは姿を消してしまった。
最近ワイキキに「ジミー・バフェット
アット ザ・ビーチコマー」というレストランをオープンしたメインランドの大物アーティスト、ジミー・バフェットは以前タヒチを訪れた時にボビー・ホルカムと‘One
Particular Harbour’というタヒチとカリビアン・ミュージックが融合したような独特な雰囲気を持つ曲を共作している。ボビーのファンであったジミーがこの共作を望んでいたのだそうだ。ジミーはこの曲を必ずコンサートで歌うほどお気に入りだ。
僕はまだまだタヒチの音楽に対しては初心者だが南太平洋というとてつもない大海原の中の小さな島に生まれた特別なパワーをもったサウンドにとても興味を持ち、もっとたくさんのタヒチの音楽を知り聞いていきたいと思っている。
今ではハワイアン・ミュージック同様、タヒチアン・ミュージックの素晴らしさにすっかり魅了されてしまっている。
HILO KUME